骨の成長をうながすもの
では、骨が伸びる、つまり骨が成長するためには何が必要なのでしょうか。
骨の成長をうながすものは、脳の下垂体から放出される成長ホルモン (GH:growth hormone) です。
成長ホルモンが直接、間接的に働いて、骨の軟骨細胞の分裂・増殖をうながして、骨が伸びます。
詳しくみると、放出された成長ホルモンが血流によって肝臓に届くと、肝臓の細胞はソマトメジン-C(IGF-1:インスリン様成長因子)という物質をつくります。
ソマトメジン-Cが骨に運ばれて、骨端軟骨の細胞を刺激するというわけです。
また、成長ホルモンの分泌を促進させる働きをするのが、アルギニンというアミノ酸です (アミノ酸はタンパク質の構成要素です)。
成長ホルモンは就寝中に多く分泌されるので、しっかり眠ることも大切です。
就寝後の3時間の深い眠りのときに多く分泌され、その後はだいたい3時間おきに分泌量が増えます。
したがって、7〜8時間の睡眠を取ったほうがいいでしょう。
適度な運度も成長ホルモンの分泌をうながします。
やり過ぎると、成長に必要な栄養カロリーも消費してしまうので、「適度に」が大切です。
骨の形成に必要なもの
タンパク質とカルシウム
骨が形成されるには、骨の組織の中心をつくる大量の膠原線維(こうげんせんい)とその周囲を固めるカルシウムが必要です。膠原線維というのはコラーゲンのことで、タンパク質です。
これがビルディングにたとえれば、鉄骨や鉄筋の役目をしています。
カルシウムはいわばコンクリートに相当して、鉄骨や鉄筋のまわりを補強して、壁や天井、床をつくるという感じでしょうか。

タンパク質が骨の中心をつくって、カルシウムが骨を強くする役割です。
したがって、成長期には、とくにタンパク質とカルシウムが、長く強い骨をつくるのに必要となります。
ミネラル
このふたつ以外にも、骨をつくる上で欠かせないマグネシウム、亜鉛、鉄分などのミネラルも大切です。ミネラル(無機質)は、必要量は少ないのですが、人間の身体では作ることができないので、食事などから摂取する必要があります。
ビタミン
さらに、各種のビタミンも骨の成長には欠かせません。・ビタミンB6:アルギニンの合成や、コラーゲンを丈夫にします。
・ 〃 B12:睡眠にかかわるメラトニンを調節したり、コラーゲンを強くします。
・ 〃 C:コラーゲン生成に関わります。
・ 〃 D:小腸でのカルシウムの吸収を高めます。
・ 〃 K:骨幹の形成を調節します。
たくさんあるので覚えられませんが、ビタミンの重要性はわかります。
カロリー摂取
各栄養素は取っても、全体のカロリーが足りないと、身体の維持にカロリーが使われてしまって、成長で使う分が不足してしまいます。ダイエットによって身長が伸びないこともあるので、注意が必要です。
夜間の塾などで、食事時間が不規則になるときは、事前に軽食を取って、必要なカロリーをしっかり摂取しましょう。
【まとめ】 成長に大切なこと
以上のことから、身長を伸ばすためには、次のことが大切になります。
食事・栄養
・タンパク質とカルシウムをしっかり取る。
・とくに骨を伸ばすためには、中心になるタンパク質が重要。
・骨の形成のためには、各種のミネラルとビタミン類が必要。
・カロリーをしっかり摂取する。
・成長ホルモン分泌のために、アルギニンも大切。
睡眠
・就寝時に成長ホルモンが多く分泌されるので、なるべく7〜8時間くらい眠る。
運動
・成長ホルモンの分泌がよくなるので、適度な運動をする。
このうち、とくに親として、子どもにしてあげられる割合が大きいのが、食事・栄養面でのサポートです。
結局、物質的に骨や身体を直接つくるのは、食事・栄養しかないと思います。
身長が伸ばせるかどうかは、ここにかかっていると言っても過言ではありません。